Handel Festival Japan

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2017年12月29日

「出演者・スタッフからのメッセージ」 第4弾 井手守(キャノンズ・コンサート室内合唱団:バス)

出演者の写真

卓上の桔梗ヶ原ワイン

ヘンデル・フェスティバル・ジャパン(HFJ)と私 ~ヘンデルの好きなもの~

 オーディションを経て、2008年1月が加入後初舞台であった。ちなみにその時の演目は《戴冠式アンセム》であった。それから早いもので10年が経とうとしている。
当時は学生時代から埼玉県ふじみ野市に居を構えていたが、7年程前から故郷の長野県塩尻市で暮らしている。

塩尻は長野県の中部に位置し、周囲を山に囲まれた盆地で、夏は暑く冬は寒い所である。また、朝晩の寒暖差も大きいので、その様な気候を生かした農産物も豊富な土地である。
特産品のひとつに、葡萄がある。市内には葡萄園が沢山あり、ぶどう狩り等ができる観光農園もある。また、全国的に見ても珍しいとされる中央本線塩尻駅のプラットホームの葡萄棚は、私が子供の頃には既にあり現在も栽培されている。秋になると辺りには葡萄の甘い香りが漂い、季節を感じるものである。

 ワイン用の葡萄も栽培が盛んで、ワイナリーも点在している。塩尻一帯で獲れた葡萄から醸造されたワインは、桔梗ヶ原ワインと呼ばれ流通しているので、ワイン通の方はもちろん、そうでない方も一度は見たり聞いたりした事があるかも知れない。ワイナリーを見学するツアー等も行われていて、県内外から多くの観光客が足を運ぶ。

 先日、オラトリオ《テオドーラ》の合唱稽古が東京の池上ルーテル教会であり上京。指揮者でHFJの実行委員長をなさっている三澤寿喜先生から興味深いエピソードを伺うことができた。実は、三澤先生も塩尻の隣、岡谷市のご出身。塩尻の事もご存知である。
 
三澤先生 「井手さんは塩尻にお住まいでしたね。」

 私    「はい。」

 三澤先生 「塩尻はワインが有名ですが、実はヘンデルはワインが大好物で...」

 私    「(やや食い気味に)そ、そうなんですかぁぁぁ!」
 
私はその時、不思議な縁の様なものを感じずには居られなかった。日本にも、世界にも美味しいワインは沢山存在する。ヘンデルが現代に生きていたら、桔梗ヶ原ワインをおすすめしてみよう。このエピソードでヘンデルが少し身近に感じられた。

 ここまでもっともらしくワインの事を語ってきた私であるが、アルコールに弱いのは周知の事実。私はホットワインか、ぶどうジュースで乾杯するしか無さそうだ。
今夜も冷え込みが厳しくなってきた。よし、ホットワインを作って飲むとしよう!

 毎年演奏に携わり、ヘンデルの素晴らしさを肌で感じ、お客様と共有できる事は至上の喜びである。今回もどんな“化学反応”が起こるだろうか?とワクワクしながら譜読みしている。